社内SEは楽すぎではないが適度に忙しくてやりがいもあった話【ITコンサルからの転職】

コンサルファームから社内SEへ転職した体験談をうかがいました。
「社内SEってどんなことをしているの?」
「仕事はきつくないのかな」
「システムの運用保守ばかりでつまらなさそう」
いろいろ疑問やイメージがあると思います。
実際、社内SEをやってみて感じたことをまとめると
- コンサルよりはまったりでき、自分の時間も作ることができる
- 本当の意味での問題解決が求められる
- 責任重大だけど主体性を持っているとやりがいがある
- コンサルでは経験できなかった面白い案件を経験できる
「社内SE 楽すぎるでしょ?」という声もありますが、企業によって一長一短なんじゃないかなと思います。
私自身は、大手の社内SEで色んなプロジェクトなどあって適度に忙しくやってます。
社内SEには思ったより色々な仕事がありました。
社内SEは、ユーザの問題を解決するスペシャリストで、そこには主体性や責任感が求められます。
コンサルから社内SEに転職した実際の経験をベースに、仕事内容について深堀していきます。
ITコンサルから社内SEへ転職した理由【長時間労働がきつすぎた】


ITコンサルから社内SEへ転職した理由は、仕事がきつかったからです。
転職前、私はシステム導入による業務改革プロジェクトを担当していました。
クライアントの業務改革のためにどんなシステムを導入し、それをどのように使用したりカスタマイズしたりするかを検討するようなプロジェクトです。
毎日終電帰りで徹夜や土日が潰れることもしばしば。
ある朝目が覚めると、頭痛と吐き気がして仕事に行けませんでした。
- 活字を見ると頭がズキズキする
- 気持ち悪くてトイレに駆け込んでゲロを吐く
- 心臓が締め付けられるように痛い
こんな症状が出るくらい精神的にまいっていたようです。
次の日もその次の日も症状はおさまりませんでした。
心配になって心療内科へ診断に行くと、「うつなので休職してください」と言われました。
ようやく仕事で成果が出始めたところだったので落胆半面、この激務から解放されると思うと少し楽にもなりました。
その後、無事に復職できたものの、精神的にも体力的にもきつくて続けられない。
仕事自体はすごくやりがいがあったので残念でしたが、コンサル会社は辞めて社内SEに転職することに決めました。
社内SEの仕事をしてみて感じたこと
結論としては社内SEに転職してよかったと思います。
ITコンサル時代と比べれば全然まったりですし、人も優しいですし、納期にめちゃくちゃ追われるということもありませんので。それでいてやりがいのあるプロジェクトも任せていただけて、非常にバランスが取れた働き方ができています。
運用保守だけどITコンサルと似ている面がある
私は大手製造業(連結従業員3万人)の社内SEに転職しました。
社内SEといっても、沢山の人が使う社内システムの面倒をみるので、本当に大丈夫かなとはじめは心配でした。前職を辞めた理由が、「うつ」だけに心配は強かったです。
最初に担当したのは運用保守です。
つまらなさそうなイメージがありますが、思った以上にコンサル力が問われます。
実際のところ、
「〇〇の使い方がわからない」
「操作していたらこんなエラーが出た」
といった、一般ユーザからの問い合わせ対応が主な仕事です。
中には、「こんな業務課題があるから解決したい」や「新しい業務が始まるからそれに対応できるようにしたい」といった相談もあります。
こういった案件ではユーザやベンダと一緒にソリューションを検討します。
コンサル時代は、自分が担当するシステムに閉じた範囲での問題解決で足りました。
社内SEでは、ユーザの業務を取り巻く全てのシステムどころか、システム外の業務運用すべて含めてソリューションを考える必要があります。
コンサル以上に特定のシステムにとらわれない問題解決力が問われました。
課題を解決できたときのユーザからの感謝の言葉がモチベーションにつながります。
社内SEでもプロジェクトマネージャー職がある
社内SEは若いうちからプロジェクトマネージャーを任されます。
しかも、コンサルとは違って、自社の業務がきちんと回るかが問われるので、ある意味責任重大です。
私も転職して30手前くらいでプロマネを任されましたが、相対するのは30中盤~40代くらいのコンサル会社のマネージャやシニアマネージャ。
前職では上司にあたる人と対等な立ち位置に居たので何だか不思議な気分でした。
社内SEはプロジェクトにおいて、ベンダ以上にイニシアティブを発揮していく必要があります。
ベンダ側のプロマネに頼りっきりでは、気付いたら
「開発が遅れている」
「課題管理表が更新されておらず、どんな問題が起きているのかよくわからない」
「構成管理がなっておらず気づいたら障害が発生していた」
なんてこともざらです。
ベンダ側のマネジメントがイマイチならば、テコ入れしていく必要もあります。
このようなことから、思った以上にマネジメント力が問われます。
責任も重大な分、やりがいも大きいです。
社内SEでも上流工程の仕事ができてやりがいがあった
- 社内SEは、システムの導入だけでなく、システム提案やNonIT(ITに縛られないプロジェクト)を担当することもあります。
上流としては、システム提案や組織改革の推進などを経験しました。
システム提案では、数年後のシステム刷新に向け、社内のシステム全体のグランドデザインを描くといった活動を実施しました。
これは、実際にシステム導入のプロジェクトを始める前の企画の段階になります。
「今の課題がこうだからITはこうあるべき」といった形で、色々な構想が膨らんで非常にやりがいのある案件でした。
組織改革では、業務をとことん効率化するための組織、ルール、標準業務プロセス、システムの検討をユーザ部門と一緒に実施しました。
検討範囲がもはやシステムの範疇を飛び出していて、業務や組織への理解が深まった案件でした。
コンサルというとクライアントに寄り添って一番良い解決策を提案するように思われます。
しかし実のところは、自社が掲げるソリューションを売って儲けるというビジネスモデルです。
ゆえに自分が担当できるのも、そのコンサルファームが力を入れている製品やソリューションだったりします。
一方、社内SEはそういった利害関係なしに自社の業務にとって最適なソリューションを追求するのが役割です。
- そんな役割を担うからこそ、NonIT案件や超上流案件を扱うこともしばしば。
コンサル会社にいた頃にはなかなか経験できなかったような案件も経験できて、私にとっては非常に面白くて充実していました。
そういった意味では社内SEの仕事はコンサル以上にコンサルっぽいのかもしれません。
社内SEだからといって、良いことばかりでもない。
社内SEで逆に嫌になることもあります。
- 社内調整が揉めたとき
- モチベが低い人がいてプロジェクトに迷惑がかかっているとき
こんなときだけは、社内SEでも嫌だなって感じます。
社内SEに向いている人の特徴


まったりしたくて転職した社内SEでしたが、コンサル以上にコンサルっぽいというのが率直な感想でした。
もちろん、ワークライフバランスは大幅に改善されました。
コンサル時代は毎日終電で繁忙期は徹夜みたいな生活。
社内SEになってからは、土日はもちろん平日の仕事終わりでもプライベートの時間を持つことができます。
とても忙しい時でも徹夜になることはありませんし、有給休暇もコンサル時代よりは取得しやすいです。
残業は平均20~30時間くらいです。
大型プロジェクトで炎上していれば徹夜もあり得ますが、遅くとも22時くらいには切り上げることができます。
両方を経験した自分が思う「社内SEに向いている人の特徴」をまとめてみました。
人の悩みに親身になって相談に乗れる人
社内SEは基本的にはユーザからの問い合わせに対応します。
問題に悩まされていて相談に来られるので、いわば駆け込み寺的な存在です。
ですので、人に寄り添い、親身になって悩みの相談に乗るのが好きな人は向いているかもしれません。
主体性と責任感がある人
社内SEは、ある意味コンサル以上にプロジェクトマネジメントや超上流の案件を担当することが多いです。
このような案件を任されるからには、
- 主体性を持って物事に取り組む力
- 責任を持って最後までやり抜く力
が求められます。
こう言われるとプレッシャーがかかるかもしれませんが、ある意味自分のやりたいようにやれるという側面もあります。
そんな仕事の進め方を求めている人にとってはやりがいは大きいと思われます。
社内SEは確かにまったりできます。
かといって、単に楽をしたいという気持ちで転職をしても、責任感に押しつぶされたり、周りの人からの信頼も失って居づらくなったりします。
激務過ぎるのは無理。でも組織や現場のユーザの悩みを解決し、貢献したいという気持ちがある人にはぴったりの仕事だと思います。
激務だったコンサルファームで体調を崩しましたが、社内SEに転職して、やりがいも自分の時間ももつことができました。
バランスよく働くことができ転職してよかったと思います。
人の悩みに親身になれて、主体性を持って働きたい方にはおすすめです。
社内SEに興味がある方、コンサルファームからの転職を考えている方の参考になればと思います。