医療機器の営業はやりがいだけじゃ続かなかった話【考え方が合う会社を選ぶと吉】

医療機器メーカーの営業員として5年働いた方の体験談です。
医療機器メーカーの仕事と聞くと、
「医療の分野も理解しないといけないから大変そう」
「医療分野を扱うからやりがいがありそう」
なんてイメージがあります。
でも実際の仕事の内容は知らない方がほとんどだと思います。
実際に働いてみたら、
- 仕事のために勉強し続けなければならない
- 人の為よりも、売上を優先する時が何度もある
- やりがいはあるが評価制度に不満もある
社会貢献がしたくて入社したのに、売上をとるかやりがいをとるか、葛藤しながら働いた体験談です。
自分の中の優先順位と、企業の優先順位が一致しなければ働きづらく、モチベーションもあがりません。
医療機器メーカーでより快適に働くためにはどのような会社を選べばいいのか、参考になると思います。
医療業界を志望した理由【社会貢献をしたい】
私は就職活動の際、「業界として安定していて、製品を通じて社会貢献が出来るような職種」を希望していました。
そこで、「他業界と比べると平均年収が高く、比較的不景気の影響を受けにくい」と言われていた医療業界に絞りました。
製薬企業も受けましたが、製薬業界は高学歴な人材が多いので、狭き門です。
特に高学歴という訳でもない私は、医療機器メーカーを受けました。
そして、最初に内定を頂いた会社に入社しました。
念願の医療業界に就職でき、「これから社会貢献ができる」と働くことを楽しみにしていました。
医療機器営業に必須な勉強
医療機器メーカーに勤める際に必ずしなければならないのが、医療に関する知識を蓄えることです。
この業界で顧客となるのは、医師や看護師のような有資格者です。
彼らと同じ土俵で話すためには、継続的な勉強が必須となります。
これは医療機器メーカーに限らず、医療業界に携わる職業にも言えることだと思います。
勉強の内容としては、自社製品のことはもちろん、医療知識、手術の流れや病院についてなど、様々です。
ここまで勉強すれば十分という範囲はないので、最初は苦労するかもしれません。
入社後に研修もありますが、それだけでは満足な知識は得られません。
さらに、医療知識は日々更新されるので、継続的な勉強が必要です。
最初の2、3年目までは、日々の仕事だけでなく休日にも勉強が必須となります。
こうして勉強を続けることで、
- 自分の販売している製品への理解が深まる
- 医師や看護師の方々と医療に関する深い話をすることができる
- 今までなかった新しい提案をすることができる
現場が求める物を理解し、提供することができるようになります。
研修をしっかりと受けさせてくれる企業とそうでない企業とで、最初の知識に大きく差が出ます。そこは、就活時にしっかりと調べた方がいいかもしれません。
医療現場との関わり【営業の仕事】
営業で伺う医療の現場は、患者様の命が大きく左右されることもあるため、非常にピリピリしていることが多いです。
営業の一つのミスで命に関わる問題に発展することもあるため、医師の先生方からも厳しい目で見られます。
実際、私も自分の勉強不足により、手術中の製品不備で先生から呼び出されたことがあります。
その時は1時間お叱りを受けました。
先輩方の中には、「先生を怒らせた事でその施設を出禁になる」なんて事もあったそうです。
一方で、緊張感漂う現場に出入りし提案を続けるからこそ、やりがいを感じる部分もあります。
それは、「間接的に患者様の命を救える」ということです。
「自社の製品が患者様の命を救っている」と感じると、社会に貢献できている実感がわきます。
その実感が、モチベーションへと繋がっていました。
日頃から勉強をしていたおかげで、より良い提案ができていたと思います。
医療機器メーカーでの葛藤【売上重視】
医療機器メーカーの営業を志望する方は、
「医療業界に携わりたい」
「間接的に患者様を救いたい」
などの、社会貢献的意欲が高い方が多いと思います。
しかし、時には会社としての売り上げや利益を優先して考えなければいけません。
私も実際、自社の製品が「その病院や先生のニーズに合っていない」と分かった上で、
目先の売上を優先し、提案した事も多々ありました。
もちろん、「仕事だから当然」と思う方も多いと思います。
しかし、そういった提案で販売した製品は、長期的に採用して頂けない可能性が高いです。
また、先生方の評価も落としてしまい、次回以降の提案に結びつく事もありません。
逆に、
- 先生や看護師様からの悩みや課題をよく聞き、それに合った提案をする
- 先生方も知らなかった課題を見つけ出し根本的な課題を解決する
こういった事ができれば自信に繋がり、「社会貢献が出来た」というやりがいを感じます。
このような「やりがい」と「売上重視」の間で葛藤することが多々ありました。
考え方の違いで辞めた【売上重視の人は続けている人も】
私は葛藤の末、「絶対に売上重視」という考え方にはなれませんでした。
さらに、会社内での一年間の評価の仕方は「決められたエリア内での売上」でした。
前年比を用いるので、運に左右されることが多いです。
私は、
- この評価制度に納得できなかった
- 尊敬していた先輩の評価が低かった
この2つの理由から退職を決めました。
医療機器メーカーで営業として成功している人は、比較的「売上への意識が高い人」が多いように感じます。
世渡り上手という部分もあるかもしれませんが、「お客様第一の意識」が強い方はギャップに苦しむかもしれません。
「お客様よりも売上の方が大切」という考え方ができる人は、入社後もギャップを感じることなく成功できると思います。
私が勤めていたのが医療業界でも有名な企業だったからかもしれませんが、より良い企業へスキルアップのため転職する人もたくさんいました。
医療機器営業の待遇
給料
その他の業界と比べると高いと思います。
また、不景気に左右されにくく、ボーナスの支給額が大きく減る事も少ないです。
ただ、勤務するメーカーや、外資と内資のどちらかによって多少は差が出ると思います。
残業
近年の「働き方改革」の影響により、業界全体で少なくなってきています。
ただ、緊急性が高い手術も多くあるので、休日や定時外に病院へ走る事もあります。
なので、どうしても残業を少なくしたい方は、
- 緊急手術の少ない診療科向けの製品を扱うメーカー
- 手術以外の領域向けの製品を扱うメーカー
このような企業に就職すると良いかもしれません。
医療機器の営業は「やりがいと売上のバランス」が大切


医療機器メーカーの営業は、製品を通して間接的に人を救うことができるやりがいのある仕事です。
また、日々勉強していく中で、新しい発見や自分の知識が深まっていくことに達成感も感じます。
しかし、仕事である以上、やりがいや達成感だけでは継続することは難しいです。
どこかで「売上重視への意識」も受け入れ、バランスを取りながら働ければ、うまくいくかもしれません。
医療業界への興味や憧れ、「役に立ちたい」という気持ちが強ければ強いほど、入社後のやりがいに喪失感を抱くと思います。
継続して勤務していくためには、
- 売上を優先させなければいけない時もある
- 入社前に「この製品で役に立ちたい」などしっかり差別化を図る
- 評価制度や研修について就活時にしっかり下調べをする
あらかじめ分かっておくことで、対処できることもあるかもしれません。
自分と企業の考え方ができるだけ一致するような会社を選ぶことが大切だと思います。
医療業界は人気【強い意志のある方にはおすすめ】
医療業界は平均年収が高く、人気の高い業界なので倍率は高いです。
是非働きたいという方は、「一般消費者からはあまり知られていないが医療業界では超有名企業」を狙ってみるといいかもしれません。
「製品を通して人を救いたい」「自分は売上を優先できる営業に向いている」という強い意志がある方は、挑戦するべきだと思います。