10年以上医者してるが大変じゃない働き先もある【差が激しいだけ】

現役のお医者さんより、残業少な目で健康的に働いている体験談を伺いました。
「医者の仕事はプレッシャーが多く、勤務時間も長い」という印象が強いですよね。
医者になって分かったことは
- ハードワークすぎない科や病院がある
- 外科など一刻一秒を争う科はカッコいいですが、やりがいは凄いけどハードワークな時もある
- 研修医時代は、ローテーションがあるので過酷な科もある
10年以上働いてきたお医者さんの意見だけに、説得力があります。
「医者を目指したいけど、大変なのでは?」と不安を感じている人は、読んでみるとためになります。
医者を目指した理由【兄の闘病】
兄が大病を患い3年間の闘病の末、亡くなってしまいました。
私が高校の時の話です。
それを側で見続けた私は、医者を志望することにしました。
1年間浪人した後に、なんとか医学部に合格。
当時、「医者は人の命に寄り添い、身を削っても一緒に戦い続けるべき」と考えていて、それが全てだと思っていました。
緊張とクタクタの研修医時代
大学卒業後、近くにある市中病院で研修医として就職。
医学知識はあっても実戦にすぐ対応できる訳もなく、「薬の名前」「点滴の選び方」など、初歩的なところから勉強する毎日でした。
研修医はいくつかの科を1〜3ヶ月ずつローテートします。
循環器内科をまわった時は、帰宅後も急な呼び出しに対応できるよう、PHSを常に気にしていました。
深夜に急患で呼び出された時は、緊張で心臓がバクバクしました。
患者さんが目の前で急変し電気ショックをかける場面もあり、見ているこちらも生きた心地がしませんでした。
先輩の医者やスタッフは、冷静に迅速に対応していて、カッコいいと憧れました。その反面、数年後自分が率先して出来るようになるだろうかと将来に対する不安もありました。
「医者にならなきゃよかった」とまでは思っていませんでしたが、過酷な科に入ると緊張感と疲労でかなり参っていました。この頃から、理想の医者になれる自信がなくなってきました。
研修後、専門分野で迷う【理想と現実】
「専門分野が決められない」
研修医の2年間が終わると専門分野を決めます。
何科になるのか、どこの病院で働くのか、自由に自分で行く道を選ぶことができます。
- 早い時期に専門を決めている同期が70%
- 専門分野で悩んでいる同期が30%
大体このような感じでした。
私は悩んでいる方で、小児科、泌尿器科、麻酔科、内科で迷っていました。
何を基準に選べばいいか分からず、悶々としていました。
「専門分野の一長一短をあれこれ考え続ける」
- 小児科:未来ある子供を救うことにやりがいがある反面、小さい子供が苦しむ姿を見るのが辛い。
- 泌尿器科:手術が出来るのでカッコいいが非常に忙しそう。
- 麻酔科:手術時に起こる変化に的確に対応することがカッコいいがプレッシャーがすごい。
- 内科:最も自分の持つ医者のイメージに近かったですが
- 循環器内科:ハードすぎる
- 消化器内科:胃カメラを受ける患者さんが苦しそう
- 呼吸器内科:は先輩医師が尊敬できない。
個人的な印象です。医者にも人権はありますから。
それぞれの分野の良い面悪い面を考え続けました。
先輩方のおかげで決められた専門分野
「決められなかった理由は、自分の理想にあった」
医師を目指す理由は、かけがえのない人の死でした。
「医者は辛くても患者のために身を削るべき」という理想が強かったことが原因かもしれません。
実は、そういう場面から遠ざかりたいという気持ちがあったのに、当時は理想が強すぎて認められませんでした。
「自分の弱さを認められなかった」
私自身、体力は人並みですが、感受性は強い方です。
そのせいか、緊張感の強い場面はドッと疲れてしまいます。
自分の性質に気付きながら、「そんな弱くてはいけない」と考え、心の葛藤を生んでいたと思います。
「先輩医師の助言に救われた」
思い悩んで、先輩の医師達に相談しました。
私の話をよく聞いた上で、先輩よりいくつか助言をもらいました。
- 「どこに行っても良いこともあるし悪いこともある」
- 「いろいろなタイプの医師がいるのだから、皆が皆忙しい道に進む必要はない」
助言のおかげで、「ツライ道を選び続けなくてもいいのかな」と思うようになりました。
自分の理想と弱さを見つめ、最終的に腎臓内科を専門として選びました。就職先の腎臓内科は、「自分の目指すやりがい」と「ハードワークすぎない環境」のバランスが良いように思えたからです。
医者になって10年、落ち着いて働けている
現在医師になって10年経ち、こんな自分でもなんとか働き続けています。
もちろん腎臓内科でも忙しいことはありますが、一刻一秒を争うという場面に出くわすことが少ないです。
今になって冷静に周りを見渡すと
健診センターや老健施設でまったりと働いている医師がいたり、短時間勤務で家庭の時間を第一にして働いている医師がいたり、多種多様です。
あの頃の反省点
自分の勝手な理想で、自分自身を追いつめていたんだろうと思います。
自分の性格を素直に認めてあげられたら、あの時あんなに悩まなくて済んだのかなと思います。
もちろん、ハードワークな道でもそれを選んで戦い続けてるお医者様もいるので、尊敬しています。
今でも他の科への憧れはあります。
でも、とりあえず働き続けることができ、専門知識も習得しているのでそこは良しとしています。
「医者は体力的にも、メンタル的にも大変だから無理」と諦めている方がいたら、自分みたいにやれている人もいることを知っていただければと思います。