10年ブランク有りの主婦でも臨床検査技師への復帰は可能【エコー検査ができればかなり楽】

結婚を機に一度退職したけど、臨床検査技師として復帰した主婦の体験談を伺いました。
技術が必要で、ブランクが空いたら復帰は厳しそうなイメージがある臨床検査技師。
知識も必要だし、どうやって働いていけばいいのか想像もつかないですよね。
実際働いてみて、
- 慣れないと主婦との両立はきつい
- 一度退職しても、働き方を選べば復帰は可能
- 初めに入社した企業で、復帰に有利な技術を習得した方がいい
復帰に有利な資格を持っていなくて面接では一苦労。
でも、働き方を選んだ結果、主婦と両立して充実した生活を送れるようになった体験談です。
一度退職して復帰を考えている方や就活中の方、今後退職するかもしれない方にも参考になると思います。
臨床検査技師の仕事内容
臨床検査技師の仕事は大きく分けて2種類あります。
- 生理検査:患者さんに直接触れて心電図検査やエコー検査などを行う
- 検体検査:血液や尿など患者さんから得られた検査材料を用いて行う
どちらにも共通するのは、仕事を覚えながら勉強も続けなくちゃいけないこと。
勉強を続けるのは大変だけど、「努力した分、技術や知識を身につけられる魅力的な仕事」だと思います。
臨床検査技師になって初めての就職先
大学卒業後、私は臨床検査技師として健康診断を行う企業に就職しました。
健康診断の仕事は、医師や看護師、臨床検査技師などが担当。
検診車で学校や企業に出向き、様々な検査を行います。
このような健康診断を受けたことのある方も多いと思います。
健康診断の仕事の特徴
1. 朝が早い
健康診断はほとんどの場合8:30スタート。
そのため、健康診断企業の職員は早い人だと6:00頃に出勤します。
その影響か、職場の飲み会の解散時間はいつも早かったです。
飲み会に残ったり、など気を遣う必要がないので、その点は気楽でした。
2. 体力勝負
毎日違う現場に移動し、会場に荷物を運び設置。
検査が終われば素早く撤去。
ひたすら、この繰り返しです。
仕事を始めて体力がついた、なんて人もいました。
忙しい仕事でしたが、同期入社の仲間に恵まれ、助け合うことができました。
また、職場の教育体制が整っていたりと環境に恵まれ、順調に臨床検査技師としての日々を過ごすことができました。
在職中に身についた技術
そこでの在職中、私は「生理検査」の技術を身につけることができました。
健康診断の仕事は、短い時間で多くの人の検査をこなします。
多い時は午前中だけで100名の検査をするなんてことも。
そのため、経験できる検査数が多く、検査の技術は早くに身につきました。
早い段階で仕事がスムーズにできるようになったので、初めての仕事が健康診断で良かったと思います。
専業主婦時代に感じた焦り
3年間の勤務の後、私は結婚を機に退職。
理由は、「仕事と家事の両立って大変そうだな」という単純なもの。
臨床検査技師は、技術職です。
今思えば、「生理検査」だけでなく、復帰する時に有利な技術を身につけるべきでした。
特に、求人が多く時給も高い「エコー検査」をできるようにしていれば、と後悔しています。
家事育児に追われながら過ごす中、時々自分が社会から取り残されたような気持ちになることがありました。
「自分は臨床検査技師として復帰できるのかな」と、不安や焦りがどんどん大きくなっていき、辛い時期もありました。
実際は、結婚後も仕事を続ける臨床検査技師の方も多いと思います。私もできることなら続けたかったな、と感じています。
臨床検査技師としての復帰【約10年のブランク】
30代半ばになった頃、ようやく育児が一段落しました。
臨床検査技師としての復帰活動、不安とともに開始です。
一段落したとはいえ、子どもたちはまだ急な休みも必要な年齢。
そこでまず、臨床検査技師の派遣会社に登録し、都合の良い日に入れる健康診断の仕事を選びました。
初日の担当は心電図だったのですが、「とにかくひどく緊張した」ということだけ覚えています。
復帰後の転職歴
その後、数年ずつ何度か転職を繰り返すことに。
と言っても、仕事がうまく行かなかった訳じゃなく、徐々に労働時間や勤務日数を増やせる様になってきたからです。
中規模総合病院の生理検査室
勤務条件「平日午前中のみ」に惹かれました。
ここでは、それまで経験のなかった「採血業務」にも携わる事になりました。
思いがけず習得できた採血の技術。
ラッキーな出来事でした。
大学病院の循環器内科
4年程勤務した後、大学病院の循環器内科医局で、医師の研究補助として勤務を始めました。
この仕事の募集条件は「採血の出来る人」のみ。
しかし実際に始まってみると、採血その他諸々、とにかく何でも頼まれる。
「お昼のパンを買ってきてくれない?」なんて仕事が来たこともありました。
でもこれも、主婦の得意分野なので難なくクリア。
お昼を買う時間もないほど、忙しく厳しい状況の中で働く医師の姿を近くで見られたことは、とても貴重な体験となりました。
現在
その後、現在の勤務先である「脳神経内科クリニック」で、フルタイムの非常勤職員として勤務を始めました。
現在ようやく3年目。
仕事内容は脳のMRI撮影です。
実は、MRIの仕事に臨床検査技師が携わるのは少し珍しいことです。
そのため、私ももちろん初MRI。
知識ゼロからのスタートだったので、仕事を覚えるのに少し苦労しました。
約1年が過ぎたころ、通常撮影であればなんとかひとりでも任せてもらえる様になりました。
とはいえ、まだまだ知識不足。
これからも勉強は続きます。
常勤か非常勤か
復帰後の雇用体系は常に「非常勤」。
以前の様に「常勤」になりたいと思う時期もありました。
常勤のメリットはなんといっても安定ですよね。
一度、常勤雇用を条件にして再就職活動をしてみたことがあります。
しかし結果は、正直厳しいものでした。
- 若年者育成をしたい(簡単に言うと年齢がアウト)
- 技術不足
- 経験不足
これらの理由から、履歴書すら受け付けてくれずお断り、なんて経験も。
また、臨床検査技師の中途採用の多くは「エコー検査」経験の有無を問われます。
エコー検査の技術を持っていない私には難関でした。
そうしてその後もずっと非常勤。
非常勤雇用のメリットもあります。
- 非常勤であればかなり求人数多め
- 最近では社会保険へ加入出来ることも多い
- 非常勤でも一般のパートに比べて時給高め
- 良い意味で責任を問われることが少ない
- 自由に働き方を選べる
もう非常勤のままでいいかな、と思っています。
エコー検査の技術があると中途採用にはかなり有利なので、エコー技術を身につけずに最初の職場を退職したこと悔みました。
働きやすい職場
私が最初に就職した企業は、環境が整っていてとても働きやすい職場だったと感じています。
主な理由は2つあります。
これから新卒で就職を目指す方、中途採用の方など、職場を選ぶ際に注意してみるといいかもしれません。
1つ目【中途採用をしているか】
私が入社した時は、同期が私を含めて8名いました。
8名のうち新卒者は3名で、残りの5名は経歴も年齢も性別もそれぞれ違う「中途採用者」でした。
全員が新卒新人ではないため、比較されることが少なく、面倒なライバル関係になりませんでした。
分からないことがあれば教え合い、時には愚痴を言い合い、飲みに行ったり。
お互い助け合いながら、ストレスを感じることなく働くことができました。
また、例年新入社員は1~2名なのですが、前年度の退職者の関係で8名だったことも幸運でした。
同期が多いという事はとても心強かったです。
職場の教育体制
最初の職場は、仕事の効率化を図るために30人いる臨床検査技師を4チームに分けて活動していました。
各チームにそれぞれ班長や副班長がいて、細かなところまでフォローしてもらえる体制が整っていました。
もしも同期がいないひとり入社でも、このような体制が整っていれば心細い思いをすることもありません。
チームで活動することで、
- 新人ひとりで置き去りのような状態を防ぐ
- 職場のルールをすぐに身につけることができる
- フォローしてもらえるので積極的に動ける
教育制度が整っていない職場を体験したこともあります。
そこでは何をすればいいか分からず、邪魔にならないよう端にぽつんと立っている事しかできませんでした。
各職場のルールは勉強するものではなく教えてもらい身につけるしかありません。
教育制度がない職場だと、精神的に疲れてしまい継続するのは難しいかもしれません。
臨床検査技師として今の自分に満足できている
現在
週4日 脳神経内科クリニック
週1日 健康診断のアルバイト
これが、私の現在の働き方です。
勉強を続けることも新しい技術を身につけることも、簡単ではありません。
根気が必要です。
でも、がんばった分だけ結果がついてくる。
その分野の検査のプロになれます。
カッコイイです。
それが臨床検査技師の魅力だと思います。
臨床検査技師への復帰はできる【ブランクあっても関係なし】
臨床検査技師としての復帰へ、漠然とした不安を感じていた専業主婦の頃。
でも実際やってみて、仕事の探し方や選び方を工夫すれば、復帰は十分可能だと分かりました。
就職活動中の方、これから退職する方は、いつか復帰するときのことを考えておくといいかもしれません。
エコー検査など、職場ごとに習得できる技術はできる限り習得すると、その後が楽になります。
現在仕事を探している方、復帰を考えている方は
- 自分のスタイルに合った勤務体制かどうか
- どんな技術が習得できるのか
- 社員の人数や中途採用の有無
このような点を調べてみるといいかもしれません。
復帰を迷っている臨床検査技師の方がいたら、勇気を出して一歩前進するのが吉です。